蚊対策と言えば、昔ながらの「蚊取り線香」が有名です。
あの渦巻形状を見たり香りを嗅いだりすると「あぁ夏だなぁ」と実感する人も多いのではないでしょうか。
そんな蚊取り線香ですが、我が実家ではインコを飼っていたので「煙=NG」ということで、家の中では使用することがありませんでした。
しかし、改めて調べてみると蚊取り線香は万能かもしれません。
というわけで今回は「蚊取り線香は赤ちゃんや犬・猫・鳥などのペットがいても大丈夫!?」というタイトルで、その安全性に迫ってみたいと思います。
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ピレスロイドとは?
蚊取り線香の殺虫成分はピレスロイド
こちらはキンチョウが誇る蚊取り線香のベストセラー商品(商品説明)です。殺虫成分の欄にはピレスロイドと書かれていますね。
このピレスロイドとは、シロバナムシヨケギクの花が持つ殺虫成分であるピレトリンに似た成分を持つ化合物で、今や多くの殺虫剤・虫ケア用品に使用されている殺虫成分です。
Amazonで販売されている蚊取り線香は大体目を通してみましたが、ほとんどの商品に「ピレスロイド」の文字が確認できました。
ピレスロイドのメリット
即効性(速効性)が高い
忌避効果にも期待できる
物陰に潜む虫を追い出す効果(フラッシングアウト)がある
ヒトに対する安全性が高い
ピレスロイドには、ざっくり考えても上記4点の大きなメリットが期待できます。
まずは即効性(速効性)があること。これはジワジワ効いてくるボディーブローのようなものではなく、一瞬で息の根を止める効果があることを意味しています。
それから忌避効果があること。いくら速効性が高いとは言え、来る者拒まずではうまくないです。忌避効果を持ち合わせることで、寄せ付けないという強みが得られます。
それからフラッシングアウト。これは賛否両論あるかと思いますが「物陰で勝手に死なれても困る」ということで、どこかに隠れている個体はその場では死なず、物陰から出てきて死滅するというもの。
そして、ピレスロイド最大のメリットが「ヒトに対する安全性が高い」ということです。安全性に関しては、以下で詳しく掘り下げていきたいと思います。
ピレスロイドの安全性が高い理由
ピレスロイドは害虫の皮膚や口から入り、神経に作用しマヒさせて虫を退治します。また、哺乳類・鳥類など恒温動物の体に入ってもピレスロイドは速やかに分解され、短時間で体外へ排出されてしまいます。
上記はKINCHOの公式ホームページに記載されている文言です。
この文章を読む限りでは「ピレスロイドは神経毒だけど、恒温動物には効果が薄い」という解釈ができますね。
しかし、恒温動物に対して効果が薄いという根拠については示されておらず「恒温動物にはあるけど変温動物にはないものがあり、それがピレスロイドの効果の大小を決めている」という、一種のなぞなぞみたいな感じになっているように思いました。
恐らく細かく説明しだすと、素人には分かりにくいくらい難しい話になるので、非常に分かりやすく結論だけを書いてくれた結果なのではないかと思います。
ピレスロイド系の殺虫成分は、虫の神経系に作用して殺虫効果を示すものです。しかし、人を含む哺乳動物に対しては、分解酵素の働きで速やかに代謝され、尿などで短期間に体内から排出されてしまいます。そのため、人を含む哺乳動物には安全性が高いといえます。
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一方コチラは、アース製薬の公式ホームページに記載されている文言。
これを読むと「哺乳動物が持つ分解酵素のおかげで、哺乳動物には安全性が高い」というように解釈できますね。
分解酵素と言えば、中学生のときに「デンプンに唾を付ける」という実験をしたのが記憶に新しいですが、これはヒトが持つ消化酵素の働きを勉強するための実験です。
で、ここから考えると「哺乳生物は持っていて、哺乳生物以外は持っていない分解酵素がある」ということになり、それを持っているヒトには影響が少ないという考え方ができます。
蚊取り線香は赤ちゃんに影響がないのか
小さい赤ちゃんがいるご家庭では「蚊取り線香は赤ちゃんがいるところで使用してもいいの?」という心配を抱えている人も少なくないのではないでしょうか。
結果から言うと、影響がゼロとは言いませんが、そこまで神経質になって気にしなければならないほどの影響があるとは考えにくいです。「排ガスを吸わせない為に外にも出さない」くらいの気を遣っている場合でもない限り、問題無いと思います。
確かに大人の人間と比べると何倍も小さい赤ちゃんですが、それでも犬・猫・鳥などに比べたら身体は大きいですし、権威のある製薬会社のホームページ上でも「哺乳生物には影響はほとんど見られません」と書いてあるので、特に気にする必要もないでしょう。
蚊取り線香は犬・猫に影響がないのか
犬・猫もれっきとした恒温動物ですので、ピレスロイドの影響を強く受けることは無いと言われています。
私も猫とインコを飼っていて、冒頭にも書いたように蚊取り線香こそ使用していないものの「ピレスロイド系の殺虫成分を持つスプレー」は普通に使用しています。
そして、猫やインコがその影響を受けているようには思えません(直接聞いたわけじゃないけど)。
あくまで常識の範囲内で、適度な換気を心掛けながら蚊取り線香を使用するだけであれば、犬や猫などの哺乳動物に対しての影響を考える必要はないでしょう。
鳥に影響はないのか
今回少し気になったのが「インコなどの鳥類」です。
というのも、KINCHOでは「恒温動物なら影響はありません」と書いているのに対し、アース製薬では「哺乳生物なら影響はありません」と書いています(2018/06/25現在)。
私は勝手に「温血動物って書きたいけど、それを書いたらややこしくなるから、ユーザーのことを考えて分かりやすく表現しようとした結果、こういう表現になってしまったのでは?」と思っていますが、果たして真相は…?
ちなみにアース製薬のホームページ内の「よくある質問」に以下のような文言が掲載されていました。
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直接かかっても、そこまで問題じゃないというような回答をしています。
厳密に言えば「かかったのが少量で、しかも水と石けんで洗えば」という条件が付けられているものの、このような商品は大半がクレームに対する予防線として過剰なまでに石橋を叩いている感があるので、個人的にはそこまで気にする必要もないんじゃないかと思いました。
少なくとも我が家のオカメインコとコザクラインコは、ピレスロイド系の殺虫スプレーをした部屋を飛び回ることがありますが、特に体調を崩したりということもありません。
蚊取り線香の注意点
爬虫類や観賞魚、昆虫類には影響があるので注意
これまでにも散々、やれ恒温動物がどうたら哺乳類がどうたらと書いてきましたが、爬虫類や魚類などの変温動物には影響があると言われています。
これは「ヒトなどが持っている分解酵素を、爬虫類や観賞魚などは持っていない」という理由からだと思われます。実際にその酵素が何なのかもググってみたのですが、信頼に足るソースは得られませんでした。
そして、カブトムシやスズムシなどの昆虫類を飼っているという場合も注意が必要です。さすがに「蚊は退治したいけど、カブトムシは退治しないで」という都合の良い展開にはならないということでしょう。
「イケメンに限る」というのが通じないのと一緒ですね(←なんの話だ)。
ピレスロイドはともかく、火傷には注意が必要
ピレスロイド系の殺虫成分よりも、まず「実際に火のついた蚊取り線香で火傷をしないように注意すること」が重要です。
赤ちゃん・犬・猫・鳥などの生き物は、そこに火のついた物があるという認識ができない可能性があり、直接触れてしまったりする恐れがあります。
また、何らかの拍子に火事になってしまうリスクも無いとは言い切れないので、専用のホルダーなどに入れて使用するのをおすすめします。
ホルダーがあれば、庭先に持っていくのも簡単になりますし、犬や猫が直接触れてしまうリスクも大きく減らせるので、リスク回避をしたい方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
赤ちゃん・犬・猫・鳥などには影響は限りなく少ない
爬虫類、両生類、昆虫類には大きな効果を発揮する
実際に火を付ける商品のため、火気の取り扱いに注意
私は薬の専門家ではないので「人体に影響がないとは言え、それがどの程度のレベルの物なのか」については、詳しく分かりません。
個人的には「虫を殺してるんだから、影響が少ないとは言えゼロってことはないでしょ?」と思っています。それと同時に「この影響を気にし始めたら、食事も満足に摂れないし、無菌室から一歩も出られなくなるのでは?」とも思いました。
実際に、蚊に刺されて死んでしまった人や感染症になってしまった人の話は効いても、このピレスロイド系の殺虫成分が原因で人が死んだ話は聞いたことがないので、恐らくそういうことでしょう。